気候変動への取組みと
TCFD提言に基づく情報開示
当社グループでは、気候変動問題を経営の重要課題のひとつと捉え、積極的に対策に取組んでおります。パリ協定の長期目標や2030年に向けた政府の脱炭素目標を踏まえ、ガバナンス体制の強化や、事業への影響分析、CO2削減目標の設定など、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づく気候変動に関する分析と適切な情報開示を進めております。
TCFDとは
TCFD :Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)は、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立されました。TCFDは2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対し、気候変動関連リスク、及び機会に関する下記の項目について開示することを推奨しています。
TCFD 公式サイト: https://www.fsb-tcfd.org/
【 ガバナンス 】
気候変動に関する重要事項に関しては、ESG委員会で審議の上、定期的に取締役会に報告する体制をとることで、取締役会の監督が適切に図られる仕組みを構築しています。ESG委員会は代表取締役社長を委員長として、ESG活動に関する当社の重要課題に対する報告並びに審議が行われます。2023年3月期は、開催された4回のESG委員会のうち、気候変動に関する審議は3回行われ、部署横断的な課題の共有と実行計画の策定が行われました。
【 戦略 】
当社グループは、ESG経営を推進する為のマテリアリティの1つに「地域の健康・安全を担うインフラへ」を設定しています。気候変動対応はこのマテリアリティ実現の重要課題の一つであり、気候変動シナリオ分析を行い、気候変動のリスクと機会による影響を把握するとともに、省エネルギーやCO2排出量削減などの目標設定と進捗の管理を実施しています。
●気候変動シナリオ分析の概要
① 2℃シナリオと4℃シナリオ
分析にあたって定義するシナリオ群は2℃シナリオ、4℃シナリオの二つを採用しました。パリ協定目標として提唱された1.5℃シナリオについては、現状予測される世界観を特定するデータの収集が不十分と判断し、今後の分析課題としております。
② 分析の範囲
算定範囲は、当社グループの燃料消費、並びに電気の使用によるCO2排出量(Scope1及びScope2)としています。
③ シナリオ分析
特定された気候変動リスクを基に、シナリオ分析を行い2030年の世界観を考察しました。シナリオ分析では、フィットネスジムの事業運営を「出店計画・事業計画」「出店開発」「保守・管理・運用」の3つのフェーズに分け、2℃シナリオ、4℃シナリオのそれぞれにおいて、「規制」「技術」「市場」「評判」「物理的リスク」など起こり得るシナリオの分析を2022年3月に行いました。
気候関連に関わるリスク及び機会の分析
●気候変動のリスク・機会の分析
当社の主要事業である、フィットネスクラブ運営事業に関して、将来予想される気候変動に関するリスク・機会を把握する作業を行いました。
●気候変動関連リスクと機会の抽出から、重要性が高いと判断された項目
※「ZEB」
Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略。高効率設備や再生可能エネルギー導入により、快適な室内環境を実現しながら、消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建築物。
●財務インパクトの算定
シナリオ分析に基づき、2030年に予想される財務インパクトの算定を行いました。
2℃シナリオにおいては、炭素税の導入や、再エネ導入コストの増大、フロン規制の強化に対応する費用が主要な財務インパクトとなり、その額は約164百万円と想定されます。4℃シナリオにおいては、規制の導入は進まない代わりに災害の発生頻度がより上昇すると考えられ、財務インパクトは、約5百万円と想定されます。
上記算定から、よりインパクトの大きい2℃シナリオを重視して今後の対策を立てることが重要であると考えております。
●2030年時点での2℃シナリオ、4℃シナリオの財務インパクト評価
【 指標と目標 】
① Scope1,2のCO2排出量実績
エニタイムフィットネスにおいては、1店舗あたり平均で46.4t/年のCO2が排出されていると算定されました。当社の展開するジムはプールや温浴施設を持たないため、フィットネスジムの中では現時点でもCO2排出量は比較的低く抑えられています。(1㎡あたりで比較)
② 指標と目標
算定したCO2排出実績をベースとして、排出量削減の具体的対策を様々な角度から検討した結果、2030年に2021年3月期比で1店舗あたりのCO2排出削減量を50%とする目標を設定しました。
③ 2023年3月期のScope1及びScope2のCO2排出量実績
2023年3月期の1店舗あたりのCO2排出量は以下のとおりとなっております。
ロードマップ
脱炭素目標達成に向け、直営店舗の再エネ電力メニューへの切替えをはじめ、節電、節水の取組みや再エネ発電設備の導入などの取組みを着実に実施してまいります。